例えば半導体では、長いことCISCと呼ばれる論理演算方式が使われていたが、半導体の規模が大きくなるにつれ、複雑性が増してきた。
そこでRISCと呼ばれる、簡略化された演算方式の半導体が開発された。
これは技術的には非常に優れたものだった。 ところが、RISCは、CISCと異なる言語のため、顧客は新しい言語を学ばなければRISCが使えない。
サプライヤーもRISCには新しい設計装置や製造装置が必要になり、新たな投資が必要だった。
CPUの周囲のチップなどを提供してた会社も、RISCに併せた対応チップの開発が必要になった。
そんなわけで、RISCによって、バリューチェーンの全てのプレーヤーが今までのCISCと異なる動き方と投資を要求されたので、結局RISCは限定的なところでしか普及しなかった。

100年前の技術から現代への教訓を学ぶ(15.365 Disruptive Technology) - My Life in MIT Sloan

非常に違和感のある説明。まずRISCはモバイル(ARM)、家庭用ゲーム機(PPC)、家電・通信機器など組み込み系全般で幅広く普及している。設計装置・製造装置は命令セットと別のレイヤーで大きな誤解があるのではないか。

CISC/RISC論争について、結果的にRISCワークステーション市場が縮小し、PCがMacintoshも含めIntel x86に流れたのは確か。AppleはPPCを使っていたしMicrosoftもARC InitiativeでMIPSにリスクヘッジしたがIAとの間で致命的な性能差は出ない割に、コストパフォーマンスの差が開いたことが大きい。理由はIntelがPentium Pro以降、外部命令セットと内部命令セットを分離してRISCの高速化手法を取り込んだこと、微細加工技術の進展で半導体製造設備投資が急騰する中でIntelが最も規模の経済による利益を享受したことがある。

しかしPC市場を除く殆どのプロセッサはRISCに移行した。特許で守られ参入の難しいx86と比べ、命令セット・IP・SoCで水平分業の進んだRISC系の方が組み込み系で様々なニーズに対応したエコシステムが形成された。

Intelも早くからi860 (VLIW) i960 (RISC) といった新しいアーキテクチャを手掛け、いまもItenium (EPIC) やLarrabee (manycore) といった新たなアプローチに取り組んでいる。これらが商業的に成功しているかは別として、破壊的イノベーションに対するリスクヘッジにはなっているのだろう。

(via masanork) (via clione)
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